みんなの 講座

さんじゅつまんが中学受験の算数指導を始めて10数年。
どっちが生徒にとってわかりやすい解法なのか、
いまだに悩んでいる問題があります。
どっちも素晴らしい解法で甲乙つけがたく、
「どっちでやったらいいの?」と質問されるとボクは涙が出そうになります。
そういえば子供の頃、「ド根性ガエル」というマンガがあって、
主人公のピョン吉は、ひろしのTシャツにくっついてる平面ガエルなんだけど、
そのマンガに、ちょっとしたことで
「教師生活25年、こんなつらい思いをしたのは初めて」とか言いながら
毎日毎日オンオン泣き崩れる先生が出てきましたけど、
まさにあんな心境かも知れません。
ではその悲しい問題です。
8時に家を出て学校へ行くのに、
毎分90mの速さで歩くと始業時刻の5分前に学校に着き、
毎分75mの速さで歩くと始業時刻の2分前に着きます。
学校の始業時刻は何時何分ですか?
また、家から学校までの距離は何mですか?
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さあ、もちろん方程式だけは反則。
みなさんが子供に聞かれたら、どう説明します?
実はこの問題。塾や学年の違いでいろいろな教え方があるんです。
主に3つか4つくらいのアプローチに分かれるようですが、
今回は、そのうち2つを取り上げてみたいと思います。
【解法1 面積図を利用】
「速さの差集め算」という文章題に分類されていると、
次のような面積図を書いて解きます。
面積図とは、2量の積を視覚的に表現した算数用ツールです。
でも面積図って、塾や先生によって賛成派も反対派もいろいろなのよね。
ボクは中間派です。
野球の球種で言えば、ストレート・カーブみたいに多用はしたくない。
うん、まあ、シュートとかシンカーみたいな決め球として使いたいって感じかな。
(かっこつけすぎ?)
では解説をどーぞ!

面積図のタテが速さ、ヨコが時間の経過です。
「分速90mで行くと始業5分前に着くこと」
「分速75mで行くと始業2分前に着くこと」
この2つの条件を、長方形を重ねて表現します。
学校までの距離は同じだから、重なっている2つの長方形の面積は等しく、
また、共通部分ウを取り去ることで、
アの面積とイの面積が等しいことがわかります。
イの面積 75×(5−2)=225 → アの面積も225
アのヨコの長さ 225÷(90−75)=15
よって、分速90mで行くと15分かかることがわかり、
始業時刻は 8時+15分+5分=8時20分
家から学校までの距離は 90(m/分)×15分=1350m
【解法2 比を利用】
6年生のテキストで、「速さと比」という単元に登場します。
普通「比」については6年生で習うので、
それ以前の段階だとこっちは使えないかな。
では解説をどーぞ。
家から学校の距離は変わらないので、
速さの比と所要時間の比は逆比の関係があります。
(重要)距離が一定のとき、速さの比と時間の比は逆になる
毎分90mで行った場合をA、毎分75mで行った場合をBとすると、
AとBの速さの比は 90:75=6:5
所要時間の比は逆比になって5:6
AとBの実際の所要時間の差は
5−2=3分
よって、6と5の差の1=3分とわかり、
5にあたる時間(Aの場合の所要時間)は
3分×5=15分
15分で着いて始業時刻の5分前だから、
学校の始業時刻は 8時+15分+5分=8時20分
また、学校までの距離は 90×15=1350m
さて、このように時期や学年によって教え方が異なることの是非ですが、
「混乱するのでよくない」「解き方を統一してほしい」というのは、
すでに現役を離れた大人の理屈です。
もし、その1問だけを解くことだけが目的なら、
解法を1つにしぼってもよいでしょう。
しかし、算数の勉強とは、
1問の問題を解くことが最終目的ではありません。
さまざまな問題に対処できる総合力を養っていくことが正しい目的です。
問題はあくまでも、そのための素材に過ぎないのです。
だから、解法のポケット(引き出し)が多いに越したことはないでしょう。
毎日、塩味の卵焼きを食べさせられ、卵焼きが好きじゃなかった子供が、
ある日友だちの家で砂糖味の卵焼きを食べ、
「卵焼きって、こんなに美味しいかったんだ〜」って
感激したというたとえ話もありますけど、
算数を好きになれなかった子供が、ある問題のある解法がすごく気に入って、
それをきっかけに算数への興味が広がり、
成績もグングン伸びていったというケースはよくあります。
もちろん時間の制約もありますから、理想ばかり言っていられないのですが、
いろいろな解き方を知り、それらを使い分けできるようになることが、
算数上達の手がかりになることは間違いないと思います。
だから冒頭に戻って、甲乙つけがたい複数の解法があるならば、
その両方を示し、どちらでも解けるようにさせるべき。
算数の指導者として、ボクはそのように心がけています。
あとがきが長くなりました。
それではみなさん。また次回の講座でお会いいたしましょう。
では最後に宿題です。
できた人は、トップページの解答用紙から送信してください。
正解者は「正解者コーナー」で定期的に発表しています。
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